抽象的と具体的 Vol.2142
「抽象的な表現は良くない。具体的に伝えなければいけない。」などと言われることは少なくない。
ここから、抽象的な表現は悪くて、具体的な表現の方がいいような捉えられ方がされがちだが、それは違う。
具体的な表現が必要なのは、すでに存在しているものを説明する場合には有効だ。
けれど、まだそこに存在していない、あるいは見たことがない想像上の新しいもの、これから作ろうとするものを語る場合には、抽象的な表現の方がいい。
抽象をぶつけ合うことでイメージは膨らむようになる。いきなり具体的なものを作り始めたら、陳腐なものしか生まれない可能性が高くなる。
大事なのは、それで目指すモノ・コトに対する意識の共有だ。
何のために、誰のために、どのような価値をもたらすモノか?
それがあれば、初めには具体的なイメージの共有はいらない。
抽象的が悪いのではなく、具体的が悪いのでもない。
ケースバイケースで、伝えるものは変わってくるということ。
けれど、特にこれからの時代は、抽象的なイメージの共有力が必要になってくる。
それが持てない人、抽象表現を許容できない人にとっては、おそらく厳しい時代になる。